甘くはない

そのような甘い世界であったのなら良かったのに。
多くの先人達が苦しんで過していた研究室。
今日もそのことを思い知らされる事になる。
「そういえば、先日のHAの標本はどうなった?」
この問に、どきどきすることも無く、
「明日のゼミの資料にもまとめました。HAの発現があった標本だけ資料に載せれば良かったですよね?」
と答える。しかし、
「一応、発現がない個体も載せておいて。FRU発現神経細胞群のまとめにも使えるしさ。」
「わかりました」
「ところで、FRU発現神経細胞群のまとめは、今、どのくらい進んでいるの?」
「大体、検討はついています」
「今までの結果をまとめた資料を明日のゼミまでに作ってきて」
「・・・わかりました」
やることが増える。しかも、まとめる作業はかなり時間がかかるし・・・。